interview

続けていくために古材の世界の歴史から知りたい。

20160827052_01

8月12日に「廃材・古材の再利用から考える諏訪や日本のこれから」授業コーディネーター、東野さんを訪ね、授業会場でもある上諏訪駅近くのReBuilding Center予定地へ。
改装工事中の現場は、スタッフだけでなく、地元の人や日本全国からこの現場を手伝うためにやってきた人たちが集まり、「これからここで新しいモノゴトが始まっていく!」という、お店の立ち上げ時期独特の雰囲気に満ちていました。

まず、講師の原さんを呼んだ理由というか、企画意図みたいな部分について聞かせてください。これから自分自身のお店をつくっていくということから考えていることなども含めて。

佳希さん(講師の原佳希さん)は、5店舗ぐらいやってるんですけど、基本的には「STORE IN FACTORY」と「studio truss」っていう工房にしかいないみたいなんですね。他のお店はスタッフに任せっきりで。で、お店をはじめた頃から「スタッフにお客さんをつけるな」って先輩たちから言われていたらしいんですね。この人がいるからこのお店に来るみたいなことにしちゃいけない、と。そうするとスタッフが働くプレッシャーみたいなのがどんどん大きくなっちゃうし、辞めたり独立したりしたときにそのお店のお客さんがそっちに行っちゃうしとかがある。「(お客さんがスタッフではなく)その店が好き」みたいな状態でいてくれるように運営しないと、お店として長く続けるのが大変になってくるんだという話ですね。自分たちとしても、独立する人は見送ってあげたり、応援してあげたりしたいし。そのためには、母体となっているお店が、ちゃんとお店としてやっていけているようにつくれるといいなということは考えています。

なるほど。まだお店をはじめる前だけど、どうつくるかではなく、継続。多くのお店の立ち上げに立ち会ったこその、東野さんらしい話かもしれませんね。さらに聞いてみたいことはありますか?

佳希さんは(古家具をはじめる前にやっていた)古着も含めると古物の世界にいるのがすごい長いんですよね。多分、10数年以上という単位で、ずっとこの業界を見ていて。古着のときからずっと通っているから、アメリカの変化も肌で見ている。
このあたりは少しうろ覚えでもあるので、もっとしっかり聞いてみたいんですけど、アメリカで古着が買えなくなった時期があったみたいなんですよね。みんな買っちゃって(アメリカに行けば)どこでも買えるみたいな状況ではなくなったから、佳希さんは新品を扱うようになったりして。そんななかで家具も扱うようになったみたいです。いま、日本の古材の世界って(材料の提供側としては)まだみんな見向きもしてないし、実際お金になると思っていないことの方が多いんです。アメリカでも以前はそういう状況だったんですけど、もう高くなってしまっている。なので、内陸から買い付けてくるようになっているみたいです。内陸の人は、今の日本の田舎と同じような感覚で、古材への価値感が違うから、二束三文で売ってくれる。佳希さんもアメリカでアンティーク買う時は、(大陸の)真ん中の方のアンティーク商をまわって買うみたいですね。西海岸と内陸の違い、つまり都市部と田舎の価値観の違いとかは、多分日本もアメリカも変わらないので、そこを聞いてみたいです。
あとは、他の古材屋さんとか古物の世界がどういう流れできていて、いまどういう状態なのかをもうちょっとちゃんと知りたいです。もし、その世界で困っていることだったりとか、古材のニーズの変化とか。いま古材が流行っている方だと思っていて、とはいえ、流行った古材が廃れた時期とか国とかがあるのかとか。そういったところが知れると、過去を知るって未来を予測することにもつながるし、、、先の未来がちょっとずつ見えてきていいのかなと思っています。

続けることを考えると、その変動とか状況を理解しないといけないということ?

古材と触れ合ったのなんて、5年くらい前から。(東京蔵前にあるゲストハウスの)Nui.を作ったときくらいです。まだまだ知らないことばかり・・・

20160827052_02
解体作業時に出た廃材もリサイクル対象に。釘を抜き、お店に並ぶ予定。

なるほど、なので、まずはしっかりと歴史を含めて売る側としての現状把握をしたいということですね。まちの教室でも言ってるのは、地域ごとにステージみたいなのがあると感じていて、地域のことを考えて活動しはじめたり、新しいお店ができたりして、そこからいろんな問題が起こったりするんだけど、少し先にはじまった場所と大きく言えば同じような流れがある。つまり、少し先の動きを知ったり学ぶことでいろいろショートカットできるような気がしています。なので、もっと都市間の交流が増えればいいなと。まちの教室を各地でやっている理由のひとつなんですけどね。
古着と古材、アメリカと日本、都市部と田舎、そういった対比から、諏訪や日本の古材の将来が見えてくるといいですよね。

ところで、この場所って面白いですよね。僕も中央道もあるし、諏訪地域はほんとはもっともっと可能性があるんじゃないかなって感じています。

この通りは結構面白くって、すぐそこに20年くらいやっているパイ屋さんがあるんですけど、レモンクリームパイとかチョコバナナみたいのとか、いろんな種類のパイが全部280円で売ってます。他にも、和菓子屋さんがBRUTUSにちょっと載っていたり。さらにその先にある太養(たいよう)パン店というところは創業100年。パン屋が創業100年ってすごい。バゲットに力入れていて、他にもスコーンとか、自家製ピーナッツバターもあるし、カヌレも売っていて。諏訪でカヌレ食えるとは思わなかった・・・(笑)
お店は昔ながらのデザインだから、見た目がかっこいいとかは全然ないし、ちょっと年季が入りはじめてるけど、やっている人はみんないい人で。この通りのポテンシャルは、多分地元の若い人たちが思っているよりはあるなと僕らは感じています。(そういうことを感じるのは、ここに新しく入ってきた人間として)外から見てるし、ほかの街も見ているというのはあるんですけど。空き家や古い家もあって、あそこは改装しやすそうとか、なんとなくわかるので、ここにこういう場所(ReBuilding Center JAPAN)ができると、これから5年とか10年かけて、ちょっとずつテナントが増えていくんじゃないかと思っています。

なるほど、そうするとこのあたりに安く泊まれる場所があると、変わって(※)きますね。

宿泊は華南子がずっとやりたいと言ってるから。

(横で作業していたパートナーの東野華南子さんから)やりたいというか、ないとしょうがないよね(笑)

僕らがワークショップを1泊2日で開催したいってなっても、土日だったら(下諏訪町にあるゲストハウスの)マスヤはもういっぱいだし、他に流せるところがないんです。近くの旅館さんとか民宿とかに素泊まりで、安いプランをつくってもらえるんだったらできるかもしれないけど、まだちょっと見てないからわからなくて。でも、すぐそこに温泉が出ていたりとか、それが230円で入れるとかはある。だから簡易宿泊をやるためのハードルは結構低いと感じています。僕らが(ReBuilding Centerが入る建物の)3階でやってみてもいいかなと。他にも近くに3万円くらいで借りれるところもあるみたいだから、400~500万円お金ができたらそれで改装して宿やるとかもいいですよね。多分、ここができるといろんな情報が来るだろうし・・・

えっと、ここから踏み込むとどんどん授業の内容になってしまいそうなので一旦この辺で(笑)当日は、講師の原さんとだけでなく、会場に来ていただいた皆さんを含めて、いろんな可能性についてもっともっと話していけるといいなと考えています。
では、今月末27日よろしくお願いします。ありがとうございました。

※ 他の地域では安価に1週間などの期間で滞在できる場所があることで、街や人を知り、その土地が移住や開業の選択肢になっていくことが起こっている。

聞き手/まちの教室スタッフ 瀧内貫
サポート/まちの教室スタッフ 杉田映理子

===

【vol.052】すわ まちの教室 2016年8月授業
「廃材・古材の再利用から考える諏訪や日本のこれから」

建築建材のリサイクルショップ兼カフェであるReBuilding Center JAPAN(リビセン)を工事中の長野県諏訪市に、名古屋からstore in factoryというアンティークショップを運営する株式会社studio trussの原佳希さんをお招きして廃材・古材の再利用からこれからの諏訪や日本を考えます。会場はリビセンの工事中の現場になります。
 増え続ける空き家、解体されていく古民家、捨てられる廃材、変わっていく景色。いま日本の地方都市はどこも同じような問題を抱えています。一方アメリカでは廃材利用やDIYの精神が根付いており築100年以上の建物を解体するにはその材料の再利用が義務付けられた都市も出てきました。10年以上アメリカに通い古物を扱ってきた僕の大先輩をお招きして、アメリカのいま、日本のこれからなどざっくばらんな話からこれからのことを考えます。

日時/2016年8月27日(土)10時00分開始(9時30分開場/授業は2時間程度を予定)
会場/ReBuilding Center JAPAN予定地(長野県諏訪市小和田3-8)
定員/30名
参加費/1,000円
講師/原佳希(株式会社スタジオトラス 代表取締役/有限会社magic children 代表取締役)
授業コーディネーター/東野唯史(株式会社ReBuilding Center JAPAN 代表取締役)

\お申し込みはこちらから/
http://www.naganocampus.net/classes/1546

===

東野唯史(株式会社ReBuilding Center JAPAN 代表取締役)
「いい空間」をつくる空間デザインユニットmedicalaとして2014年より活動開始。代表作に東京蔵前のNui. 下諏訪町のマスヤゲストハウス、松本市の栞日など。現在は建築建材のリサイクルショップReBuilding Center JAPAN設立のために準備中。