interview

経済?お金?考えちゃいけなそうなことを考えるのが実は一番楽しい。

まちの教室7月は、“お金”や“ギフトエコノミー”といった“経済”についてがテーマ。「瞑想とギフトエコノミー」の著者 熊倉敬聡氏をお招きしての授業です。授業コーディネーターの細井岳さんが、著書を読み実際にお話しを聞いてみたい!という、思いから今回の授業はスタートしました。今回のテーマへの経緯や、実践みていること、なぜそこに至ったの?など、細井さんに話しをお聞きしました。

20160723_01

ー 今回の授業テーマ“お金”や“ギフトエコノミー”に合わせた、おすすめの本もお持ちいただきましたが、どんな本なのでしょうか?

洞窟で暮らしますとか、お金使いません、みたいな、(お金から離れた生活を実際にしている)極端な人たちだったり、中庸というかギフトエコノミーで、都会でパーマカルチャーっていう面白い本。(お金)なくていいやーなところも押さえつつ、でもそれじゃあ(今に)フィットしないから、じゃあここら辺りまでが許容かなっていうところまでの本。本当は、もっと今の経済のあり方をベースにした考え方があるはず。熊倉先生も本を読んだ限りでは、結構ラディカルなんですよ。

で、全体的に結構ラディカル寄りかも。

1回極端に振るというのも、ものの見方としては大事なのかなあと思っていて。去年やった読書会でたまたまお金の話になったんです。参加者の人からも、「お金を否定するのはアリだけど、1回お金持ちの立場になってからの視点じゃないと、それはそれでダメなんじゃない?」と言われ、確かにと思ったんですよね。でも、それができないから考えているのにって(笑)。僕も両方とも味わいたいんですけど、お金持ちになるのは難しい。

20160723_02

ー 確かに、両方ともやってみたいですよね。でも、稼ぐって?

そういう見方をするのがどうやら性にあっているらしくて。ああも見るし、こうも見るし、と見てみた結果、いろんな視点からエッセンスを抽出して、こうだよねっていう。
で、いやいや、お金、お金っていうけどねえ…って。疲れてません?、みんな疲れているのに、なんでだろうな!?って!!!ホワイトカラーの人で(パソコン)カタカタやっている人の生活を考えると、身体動かすのが嫌だとか言ってる割に、ジムで汗を流すのが気持ちいいとか言ってる。じゃあ外で働けばいいじゃん、て。わざわざ癒しを得ようとするなら、癒しを必要としない生活をするとか。わざわざ運動するなら、運動する仕事をやればいい。健康にいいとか言っていないで。だったら、(それがなくて)いい社会をめざせばいいじゃんって僕は思うわけですよ。シンプルでありたいんです。

20160723_03

ー 確かに…と思う反面、癒すとか運動とかのプラスαの部分に新しい市場ができているとどうしても感じてしまう。で、なくしてしまうと何も生まれないのかなって。

それは、僕が抱えている最大の矛盾なんですけどね。

資本主義がしんどいなっていうのは、ずっとあったんですよね。資本主義っていうのは、基本的に差異化。人と違うことを、商売にするんですよ。それを提案し続けないと延命できない装置なんです。何でも何でも、お金に換算して、違うもの違うもの違うもの…って。
そんなにモノにまみれるんじゃなくて、1つのものでやっていくっていう方がかっこいいじゃん。そうなれないかなあって思うんですよね、そしたら確実にモノは少なくなるし。

それか、(メーカーが)もっと多くなればいいのにって思います。みんながびびらないで好きなモノ作ってたら、(作り手が)増えるはずなんですよ。メーカーっていうのだとでかすぎるから、もっと分散されてって、個人で作る。そんな形に(ギフトエコノミーは)近いのかなと思いますけどね。なくしたらなくした分、時間は持てるんですよ。割けることがあるんだったら、もしかしたらここら辺のちっさい想いが芽をだすかもしれないし。

実際、次の(経済の)形がこんなふうになるんじゃないの?って話しを、参加している人たちとか熊倉先生とできたら、1番おもしろいなあと思います。

20160723_04

ー 小さくても、自分のできることを、交換とかあげる感じがギフトエコノミー? 細井さんは、すでに実践しているイメージですが。

みんなが見返りを求めないであげだしたらどうなるんでしょうね?

僕、カレーキャラバン(http://curry-caravan.net/)の真似をしたくて、去年「七輪の侍」っていう、町なかでサンマを焼いて食べさせてあげようっていう会を小規模ながら初めまして(笑)。でもカレーだったら被っているし怒られるかなと思って、秋口だしじゃあサンマだ!って。カレーキャラバンでは、1人5000円って(3人組)使うお金が決まっていて、彼らに言わせると、そのお金は旅先でおいしいものを食べたり、飲み会を開いたらかかるくらいのお金。それをまちの人と楽しむんだって。で、それいいなあと思って。町の人と勝手に、食事の場を作るっていう形。(実際に)焼いてあげることによって、実際に来てくれた人もそうだけど、上田の人全員に奢った気分になれるんですよ(笑)、すごいスペシャル。

(これも)経済なるものですからねえ…。1対1で人がモノを交換したらそれはもう経済なんですよ。だから、経済っていう(固定概念の)言葉に絡めとられない方がいいなって。

どうしても参加する人数が多くなると訳分かんなくなっちゃうけど、成り立つ最小単位として考えた方がいいのかもしれない。寺島さんと僕の間で、サンマを焼いてあげる、美味しい、っていうコミュニケーションでも実は経済なのかもしれない。

20160723_05

ー お互いに差し出せるものがあればいいのですが、、、。わたしは、差し出せるものがあるかなーって、思っているので。

それは、錯覚なんです。(これって誰でも自分でできるだろ、って思っていることなのかどうかも)確かめたくて、僕はばんばん出しているのかもしれないです。受け取ってくれるか分からないけど、あげるよと。それに対しての価値をきめることって実は勇気が必要なのかもなっていうことは思ってるんですよ。そこから目をそらすとかめんどくさがるためにお金があるんだという。でも1回そこに踏みとどまって、価値を決める。っていうのがお金をそもそも問うことなのかなあって。

今の生活水準を下げれないとか、昔の生活には戻れないとか、検証していないのにいうじゃないですか。それで納得していないですか?車がなかったりとか、エアコンがなかったりとか、いろいろ家電製品がなかったりだとか。案外困らないんですよ。それなのに、戻れないみたいな、紋切り型の言い方をしているのは、経済界なるものの、…なんでしょうね。
だって“お金ってそもそも、何?”みたいなことを考えないのも、学校では習わないのも、若干そこに悪意を感じたんですよね。システムに乗っかるために、システムの視点をあらかじめなくしてなくしていく、っていうのを感じちゃったんですよね。そこを考えたら成り立たないもんなあって。そういうのを考えちゃいけないのかなーって。そういう風なことを考えるのが、実は1番楽しいんですけどね(笑)。思いませんか?

聞き手/まちの教室スタッフ 寺島美佐子
サポート、写真撮影/まちの教室スタッフ 岩間夏希

===

【vol.050】まちの教室(上田)2016年7月授業
「何なんですか、お金って。~目からウロコのワークショップ~」

「よ~く考えよ~、お金は大事だよぉ~♪」とちょっと前のCMで歌われていました。
ここでよ~く考えよ~と言われているのは、その使い方、稼ぎ方、貯め方、増やし方の事だったりします。お金の周りの事は大事に考える一方で、我々はあまり「お金自体」の事を考えることが少ない気がします。そういえば、学校でも「お金とはなんぞや」とちゃんと習った記憶がありません。教えると何かマズイ事でもあるのでしょうか?う~ん、、、、これだけ毎日バシバシつかうものなのに。そんな疑問をお話のみならず、ワークショップで体感・体験して、「お金とはなんぞや」をアタマとカラダをつかって考えてみましょう。

日時/2016年7月23日(土)10時開始(9時30分開場/授業は2時間程度を予定)
会場/犀の角(さいのつの)(長野県上田市中央2丁目11-20)
定員/未定
参加費/1,000円(今回の上田の授業におきましては、2授業セットでお申込いただいた場合は割引が適用され、通常2授業で2,000円のところ、1,500円となります)
講師/熊倉 敬聡(元慶應義塾大学・京都造形芸術大学教授)
授業コーディネーター/細井 岳(余計な事に手を出し過ぎる木こり)

\お申し込みはこちらから/
http://www.naganocampus.net/?p=1449

【vol.051】まちの教室(上田)2016年7月授業
「先生、ギフトエコノミーってナンデスカ?」

“経世済民(けいせいさいみん)”
「世を経め(おさめ)、民を済う(すくう)」、略して「経済」。
おお、世の中をおさめて、俺らをすくってくれんのか。そうだったのか、経済。
すごいぜ、経済。ありがとう、経済。
・・・・な~んて、素直に喜べる世の中でないですよね。むしろキュウキュウ言わされている方がほとんどではないでしょうか。でも、経済がなかったら、生活がなりゆかないのもまた、事実。今の経済だけだと、息苦すぎやしませんか?という人達が、じゃ、じゃあ、どうすれば?と「ギフトエコノミー」なる経済の在り方を模索しはじめています。おお、ギフト!!なんか心身に優しそう、でもわかったような、わからないような・・・先生、「ギフトエコノミー」ってナンデスカ?

日時/2016年7月23日(土)13時30分開始(13時00分開場/授業は2時間程度を予定)
会場/犀の角(さいのつの)(長野県上田市中央2丁目11-20)
定員/未定
参加費/1,000円(今回の上田の授業におきましては、2授業セットでお申込いただいた場合は割引が適用され、通常2授業で2,000円のところ、1,500円となります)
講師/熊倉 敬聡(元慶應義塾大学・京都造形芸術大学教授)
授業コーディネーター/細井 岳(余計な事に手を出し過ぎる木こり)

\お申し込みはこちらから/
http://www.naganocampus.net/?p=1455

===

細井 岳(余計な事に手を出し過ぎる木こり)
「衝動に忠実」をモットーに日々を如何にオモシロオカシク生きるかに全身全霊をかける、しがない木こりです。「衝動に忠実」故に、時に本屋をやり、時にカレールウ専門家、時にお遍路講座講師、時にインタープリター。でも、本当のところは釣り人です。