report

1500年前から続くコミュニティスペース=お寺

こんにちは。
「しののい まちの教室」スタッフの浅野です。

今回は今月21日に行われました12月午前授業「お寺に駆け込もう」の授業内容をレポートでご紹介します。

レポートに入る前に、問題提起を1つ。
皆さん、日本全国には皆さんにもよく行くという方がいらっしゃるコンビニの数よりもお寺の数の方が多いんです!
考えてみると実はこれは驚くべきことです。

授業には『ひとなみ』を主宰する行政書士の勝桂子さんをお呼びして“私たちがお寺とどう関わっていけば良いか”ということを中心に考えました。
今回の授業会場は当授業の授業コーディネーター岡澤慶澄さんがご住職を務める長谷寺でした。

参加者は学生さん、公務員(役所)、ご住職、宗教に詳しい方、会社経営者など多岐に渡っていました。

まず最初に授業当日までにその準備として篠ノ井地域にあるお寺55か寺にアンケートを取って、その回答をもとにして授業を進めていきましたが、
なんと55通のうち8通も返信があったのです。

とあるお寺ではやはり檀信徒以外の参拝は諸手を挙げて歓迎というところまではできないという意見もありました。
防犯や受入体制なども理由として挙げられていました。
一方でそのお寺が「どのような形で地域に開かれているか」を
写真を同封するなどしてまでその内容をお伝え下さいました。
座禅会や写経会、縁日やコンサートを行うお寺もあるようです。

アンケートの内容をご紹介いただいたら、いよいよマッピング作業開始です。

参加者にグループごとに分かれてもらった後、事前に用意した地域マップにお寺の位置とアンケートに基づいた情報を書き込んでいってもらいました。
その結果、たとえ興味深いイベントを開催していたとしても遠くに住んでいる人はもちろんのこと、近くに住んでいる人でさえ、そのイベントの存在を知らなかったり、
知っていても縁遠いものだと思ってしまっているという言葉がちらほら出ていたりしました。

昔から地域の要でありアジール=聖域という呼ばれ方もしたお寺。
今もその役割があって然るべきなのに、いつの間に葬祭と盆正月にしか行かない存在だと思っている人も増えてきてしまいました。
いつもは意識の外にある場所。でも全ての人にとってその地域のことを昔から知っているお寺が行うイベントであり、その場所そのものが
非常に可能性を秘めた存在だということが東日本大震災などを機に「絆」という名のもと、見直されつつあります。

「もっとマッピングのピンを増やしたいけれども、どうしたら良いのか皆と考えたい」
講師の勝さんの気迫が伝わってきました。

そもそもどうしてお寺の可能性が見直されてきたかということですが、
日本の産業構造や日本人の価値観の変化に時代の要請が追いついてきたということが授業を通じて指摘されました。

日本が高度経済成長期を経て成熟期、そして人口減少時代を迎える中で緩やかに後退局面を迎える中で、
競争激化による国内産業の空洞化やブラック企業の存在をはじめとする仕事を取り巻く環境の悪化、
さらに幸福感や「社会に適合する人、不適合な人」というレッテルの存在が
「これは何かが違うのではないか…」と気づかせる人を増やしてきた原因となってきました。

社会やそこでの競争という名のレースで不本意ながらついていけなかった人は果たしてどうすれば良いのか。
自死率が依然として高水準にある日本でその人たちのセーフティーネットとしてもお寺は大きな可能性を秘めているのです。

後半ではグループで討議の時間を取りました。
日頃考えないからこそ、参加者同士立場関係なく率直な意見を交換できたようでした。

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その中で出てきた意見として、
1、「お寺に期待することとして悩みを持ったときに相談しに行けたらと思う。」
2、「自分の心と向き合う。心を解き放ちたい。目に見えない力。」
3。「絆が欲しい。」
4、「日常的に何かを知らしめる何か。写経など。」
5、「お寺に行って人との繋がりを求めたい。お寺の周りにいる人たちが関心を持ち合って話しかけ合えるように。」
6、「コミュニティーにあった地縁的な繋がりが公共サービスという名の下に繋がりが希薄化してきた。」
というような内容が発表されました。

最後に締め括りとして、
生きテク
まちの駅
これら2つの可能性について勝さんから指摘•提案がありました。

生きテクは自死を選んだ人たちが死にきれずそのときの思いを綴った文がまとめてあるもので、
「インターネット上には自死の方法は多く見受けられるのに生きる方法は少ないじゃないか」という
発想で講師のお知り合いのオキタリュウイチさんが代表を務めるメディアのことでした。

まちの駅は道の駅が街にあるように街中で気軽に街の人たちと交流できるところのことです。
「自由に使えるトイレがある」「常駐者がいる」「お茶が飲める」といった条件で、
お寺や地域の要となる場所を登録してもらうことで地域の力を底上げしていける可能性を秘めています。

この「しののい まちの教室」でお寺の可能性について考えることで、
もう何かが始まる、始められるのではないかという予感がしました。

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(しののい まちの教室スタッフ 浅野光弘)

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勝桂子(行政書士/「ひとなみ」主宰)
雑誌記者として15年間活動したのち、2007年に「こちらOK行政書士事務所」開設。『いいお坊さん ひどいお坊さん』著者として、僧侶研修での講演、寺社の企画運営・経営相談なども行う。また、生きづらさと向きあう任意団体<ひとなみ>を主宰し、宗教者や医師、士業者、葬送分野の専門家と一般のかたをまじえた座談会を随時開催している。