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暮らす場所も、生き方も、ひとつじゃなくていい。

「しののい まちの教室」運営スタッフの平嶋祐佳です。

7月20日昼下がり、福住には36名の参加者さんでいっぱいになっていました。座敷から縁側にかけて座られている参加者さんの前には、今日の授業者池田さんと旦那である後藤さん。そして授業コーディネーターの飯室さん。縁側の外には、エチゴビールと雪下にんじんジュース。福住にはいい風が吹き、おだやかな雰囲気のなかでも「いよいよ始まる。」そんな会場の声が受付にいる私にも届いてくるようでした。

授業は飯室さんによる池田さんの紹介から始まり、池田さんの略歴、山ノ家ができるまでの話、できてからの苦労話や良い話へと続いていきます。

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ヨソモノと地元がつながる瞬間
カフェと宿を始めてからすぐは、ヨソモノでにぎわっていた山ノ家。たまに近所のおばさまや酔ったおじさまが訪れるだけ。さまざまな工夫をしてみても、地元の人はなかなか来ない。「地元の人も巻き込みたい。」そんな池田さんたちの願いは、ワークショップなどの活動を通してだんだん深まっていき、最終的に雪かきという意外な方法によってさらに深まっていきます。どんどんふりつもる雪を毎日かく池田さんたちの「本気」が地元の方たちに伝わったとき、ヨソモノと地元の方がつながる瞬間、そこに何かが起きて、二つのものがつながっていく。「つらいことを共有することは、人と人とを深くつなげる」という池田さんの言葉には力がありました。

「ただいま!」といえる土地がふたつある
「東京にいってもただいま。新潟にいってもただいま。」な池田さん。物理的な時間でいっても東京と新潟を半々で過ごしているので、どっちの市民権も持っているし、どっちの地域にも貢献していると池田さんは言います。「ただいま!」といえる土地がある、その地域に宝物をたくさん見つけることができるなら、三拠点だって四拠点でだってあり得る。新しい暮らしのカタチが生まれてきている、そう強く思いました。

多拠点だからこそ見いだせる視点
ずっと一つの地域に住んでいると、その地域にある魅力に気づけないことが多くあります。良い場所があったとしても、近くていつでもいけるから…といかないこともしばしば。「東京に帰るたびに、東京のいいところを見つけることができる。新潟に帰ればかえるたび、新潟のいいところが見えてくる。」と池田さんは言います。旅行に帰ってきてわかる自分の暮らしを見つめる感覚とすこし似ているのかもしれないですね。

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「一つの地域にとらわれない生き方」。それは今まで私たちになかった、新しい生き方の一つだと思います。それは全然自分とは関係のない話ではなく、とても身近で、自然発生的に起きうることなんだと思いました。たくさんの生き方があるなかで、「自分はどんな生き方を選択していくか。」を選択する楽しさ、可能性について考えさせられた授業でした。

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(しののい まちの教室スタッフ 平嶋祐佳)

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池田 史子(gift_ クリエイティブディレクター/[山ノ家]主人)
東京生まれ、新潟育ち。大学からは東京が主拠点。企画設計事務所gift_で主としてアートやデザインのプロジェクトプロデュース、アーティストコーディネート等を国内外で手がけている。複数の拠点を日常の延長としてシェアして行き交う働き方、くらし方の実験の場として、2012年夏、縁あって越後妻有の里山に山ノ家Café&Dormitoryを開く。