report

生きる事を伝えていく(後半)

お待たせ致しました! 伊那授業レポート後半です。

宇野さんのお話に加えて今回の授業のもうひとつのお楽しみ、それは…
宇野さんが作られた野菜を使った試食。

以前東京都多摩市で自然食品とレストラン「おておて屋」を催かれていた宇野さんの奥様である宇野順子さんが調理をしてご用意して下さいました。その試食も今回の授業の魅力のひとつ。

20150228025_05

授業が始まった所でいただいた1品目は、
蒸した里芋を醤油とみりんで味付けをして揚げた物。

噛むとお芋のほくほくした触感と程よい堅さを感じる里芋です。
添えられていたかいわれ大根も茎の部分がしっかりとしていて小さなかいわれでありながら1本1本を食べながらその存在を意識できる新鮮さがありました。

20150228025_06

2品目は、エコシュリンプ

みなさんはエビの育っている環境について考えた事はありますか?

エビの養殖場に過密にエビがいる状況の中、えさとして与えた人工飼料や病気になった時に抗生物質を与える事で収穫量も減り、養殖の場を違う所へ場所を移す それが繰り返されるという影響が起こっている集約型という養殖方法がありますが、それに代わり、エビがもっと自然な循環の形で養殖できる方法としてインドネシアにミルクフィッシュという魚を育てている伝統的な養殖方法があり、そこからエビに合った方法で育てる手法を見つけ、人工飼料ではなくプランクトンを与えるなどして作られたエビがエコシュリンプと呼ばれています。(宇野さんが前職の中で携わられていました。)エビの養殖環境がそういった状況がある事を私も今回初めて知りましたが、

茹でるというシンプルな調理方ですが、噛んだ時の弾力が良いエビに感じます。

休憩時間になり、大きなお鍋から取り分けて給食のようにみなさんの元へ配られた3品目は、にんじん1本分を食べられるスープ

20150228025_07

にんじんをまるごと1本頂けることにも驚きましたが、
もっと驚いたのはにんじんの味。

こんなににんじんその物の味をはっきりと感じたのは初めてでした。スープは塩のみの味付けとの事でしたが、
にんじんの風味がスープに溶け出して甘みを感じるがおいしい贅沢なスープでした。

20150228025_08

そのスープを頂いて一息ついた後は参加者の方を交えてのディスカッション

それぞれがどんな立場や思いで参加されているかを確認し、こんな事を聞いてみたい・これからこんな事ができるのではないかなどを出し合いました。

20150228025_09

LURAの会の事

宇野さんがLURAの会をしていて面白いと思う事は、作っている人と食べている人を結んでいく事。

LURAの会ではメンバーとの間でその年に畑にできた分の野菜を分配しており、平等に分けたつもりだが、思わぬ事に分けた分が多く、ご近所さんにも分けたりしたがそれでも余って腐らせてしまうとそれでは忍びない。これぐらいの量は送りましょうと集まって決めて分配されている。家族が多い・食べ盛りの子供さんがいる所は手をあげてもらい、そういった必要な人達の所へ多く渡るようにしているそう。ただし会費は一緒というかたちをとられているそう。

「メンバーを増やしたいと思ったら他のメンバーが他の方に声を掛けたり呼んで来てくれたりして広がりが出てくる。ひとりの力だけじゃなくなってくる。こういう方法が面白いなと思っている。」

20150228025_10

メンバーの方への野菜を分ける作業などを奥様の順子さんがされているそうですが、分ける時にその配布先のご家族の事を考えたり、顔を合わせられる事なども交流の中で嬉しく感じられているのではないかとお話を聞いていて私は感じました。

以前メンバーになったばかりの方のご主人が会の様子が分からず理解を得られずにいたそうですが、畑に来てもらってそこで人と話したりしているうちに和が広がっていった事もあったそう。その他にもご家族で参加されている方のお子さんの成長が見られたり、仕事ではないがラジオの修理をしてくれる人がいたりと、その中での関わりが

「点が面になっていくのが非常見えて面白い。点と面になっていく事が重要でありがたい。」

20150228025_11

競争の原理だけじゃないという所が育っていくとよい

参加者:「食べる事は地域にもの凄く密接している。それを自分達が食べる事・食べ続けて行く事で農家も続いていく。地域も保全されていく事が一番健全な事なんだろうなと思う。商品として流通しているからいかに効率よく作っていく事ではなくて、それと別の見方から野菜を作る事があってもいいだろう どういう作り方でこれを続けたらその土地がどうなっていくのか そこに一番の価値を置いた作り方がある事もしかるべき」

宇野さん:「もっと緩やかでいいと思っている 地域で循環しましょうっていうのは難しい全ては賄えない。何を買うのかとか行動を起こす時に地元の商店街で購入するなど地元で回るような事を選んでいけたらよいのではないか」

「給食の時に出してもらうなど地元の学校との繋がりの仕組みができたらそこから広がり、ひとつのきっかけにもなる。」

伊那ではおととしから給食で全食(食べる事や調理などで)から学ぶ仕組みになってきたそうです。

20150228025_12

参加者:「有機野菜だから買うという感覚は自分の畑を持っている・作る人達にとってはほぼないのに等しいのでは。地元で農家に関わっている人達にも意識してもらえる方法があったら聞きたい」

宇野さん:「自分で手に入る人達はそれでいい。自分で畑を持っていない・手に入らない人達はどういう手の結び方になっていくかという事だと思う。僕はLURAというものをつくったのでその仕組みを少しずつ紹介していくのもひとつだろう。どううまくいくか分からないが特に地元の人達に足を運んでもらいたい・現場に来てもらいたい。理想は国民皆農。来てもらって畑は大変だが楽しい事や大切な事も伝えていく。メンバー同士で話したり。」

有機認定について思う事

今回の授業コーディネーターであるワイルドツリーの平賀裕子さんはお仕事でオーガニックコスメを作る事をされていて、卸しているメーカーさんからオーガニック認証出して欲しいと言われるそうなのですが、認証もいろいろな認証があるそう。例えば農薬を5%使っていてもオーガニックという物があったり、コットンの30パーセントに農薬を使っていてもそれが有機認定されている事もあるそうで、“オーガニック“というと無農薬というイメージがありますが、認証を出す時にむなしさを感じる事があるそうです。「宇野さんと話していると全ての生き物が連鎖してオーガニックなのに都会のマーケットは…」でも、消費者は何もない中で選ぶにはオーガニックの認証で選んでいる事実もある。「土の中の命 何かそういうアプローチが何かないか」と思うそう。

宇野さんは「自分だけの中で有機野菜がいいと思っている人達が多い。でも、それだけじゃないんだよ、もう少し違っていいんだと思ってもらえるようにする事はすごく難しい」そうで「有機認定自体として方法は方法があるかもしれないが、農水省の中でJAS有機認定を決められると海外からの物で認定を取った物が出てるとそこで価格競争が出てくる事を大きな問題」危機感を持っているそうです。

参加者の方からも「マークがある事で商売が成り立つ仕組みができてしまっている」「有機農産物でなく有機農業としての認証があっていいのではないか」というご意見なども。

また、その有機認定から 農業の補助金は環境保全に当てられている事も知ります。

ヨーロッパでは農業をしていても保全されていないと補助金は入らないそう。日本でも報告書などを出して申請できるそうだが、有機認定のある物を買っても日本の環境保全には繋がらない。「都会の人達が空気がいいと言うのも農家の人達が日々草刈りをしたり、守っているから保たれている そういう事を共有できるかたちを少しでももっていけたら「JASの有機認定よりそれを広めていけたらいい」

また「野菜を売る時に価格表示に値段の中に環境保全費分がいくら含まれているという表示ができたらいい」などのご意見も。

今回宇野さんからお話を引き出してくださった伊那市図書館館長である平賀研也さんは「モデルがひとつあれば市場の価格に頼らない農家が野菜を買って欲しいというのが実現していくのではないか」とおっしゃっていたり、

奥様でもある裕子さんからは「美味しい有機野菜じゃなく、いろんな命が大切にされている所から生まれた農業、伊那から生まれたら伊那の価値なんだと発信できたらいい」

「伊那の物、価値として発信するのもいいのでは?地域通貨で発信できれば流通していくのでは」 などの意見も出されていました

地域での話題もあり、伊那産の木で木工作品を作られいる参加者の方からは「木の事ばかり考えていたが農家の生まれで農業も林業も木工も繋がっていると思う」という事や

また他の参加者の方から間伐材から出るおがくずをうまく使っていけないかという話が仲間の人達の中であり、馬の所まで運ぶ話になっているという事などもあるそう。でも、その間おがくず輸入材という場合の所もあり、地元の木をそこに入れていきたいという他の場所でされている方のお話を聞いてそういう風にやっていきたい気持ちが強くなってきたという方も。

平賀さんのおっしゃる「そういったマイクロなつながり」を作っていく事や宇野さんのおっしゃった「細かい事もあるが工夫していけば」地域での「方法はあると思う」との事。 見つけていけそうな事もありそうですね。

自分が食べる物のその周りに、たくさんの大切な事がある事を感じた日でした。

20150228025_13

(まちの教室スタッフ 宮坂詩織)

===

宇野俊輔(LURAの会 主宰)
大阪出身。大阪出身。東京の建設コンサルタント会社の技術者としてアジア各地で働き、30代でオルタートレードジャパンにてフェアトレードに携わる。かの有名なバランゴンバナナやエコシュリンプの生産を通して自立の取組みや環境保全の活動を地域の人たち共に実践。その経験をもとに自然の仕組みにのっとった農業を実現しようと45歳で退職し、2002年に伊那市高遠へ移住。2011年にはLURAの会をたちあげ、「作る人と食べる人が協力して本来の食べ物を自分たちの手に取り戻す」しくみをつくる。奥さんの順子さんは聖蹟桜ヶ丘で自然食レストラン「おておて屋-自然と暮らしの交差店-」を9年営んだ経験をいかし、宇野さんの野菜をさらにおいしく、優しく仕上げる。