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あるものを生かしたまちづくり

授業05「坂東幸輔さんから学ぶ、素直な建築」は当日飛び入り参加の方もちらほらいらっしゃり、嬉しいことに予想よりも大人数での授業となりました!

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授業は講師、坂東幸輔さんが活動する徳島市神山町のお話から始まりました。

「やりたいと言ったことがすぐ現実になる。神山町は魅力的な町です。」

神山町は人口が減り高齢者と空き家がたくさん増えているという典型的な田舎町。
そんな町に今、都会のIT企業が移住して仕事をする、サテライトオフィスが増えています。素足で川に入って、岩に腰掛けながらパソコン作業をしている光景はTV番組でも取り上げられました。見た事がある人もいるのではないでしょうか。

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革新的な町おこしに取り組む神山町で、坂東さんは新オフィス建築のため、空き家再生をするプロジェクトに取り組まれています。
例えば「寄井座」という使われなくなった劇場を、再生するにはどうしたらいいか。ということを考え、より現実的な提案をするワークショップ。

閉鎖された縫製工場をコワーキングスペースにした「神山バレーサテライトオフィスコンプレックス」。これは空き家から捨てられていた古い家具を利用するなど、“あるものを生かす”という事を大事に作られたそう。

そして「えんがわオフィス」は、寄井座近くに人が集まってくれるよう、オープンな雰囲気をだすために広い縁側の障子部分は全てガラス張りに。横の広場やちょっとしたスペースでは町のおばあさん等が野菜を分けてくれたり、物を売ったり、世間話などをするスペースに自然になっていったそうです。

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すると町の中から、自分も空き家改修をするという人が現れたり、国からも注目されるようになったり…ということが生まれ、現在では神山町をモデルケースにして地域を再生させていこうという動きもあるそうです。

自分たちの住んでいる地域でも出来たらいいなというものばかりで、羨ましいなと思いながらお話をお聞きしていました。

これからは一人の人がいくつもの建物を使いこなす、多拠点居住、地域定住が重要になってくるのではないか。自分のサテライトオフィスをいろんな場所に作ることで、空き家を使いこなす事例を増やして行きたいとお話してくださいました。

いつか自分の住んでいる町でもこのような動きが起ればいいですね!

「建築家として、人のために何ができるか考えます。」

後半は坂東さんの学生時代の作品紹介をお聞きしました。
まず、徳島県吉野川の河口付近に河道壁(ダムのような物)が作られそうになる、という問題に対して提案された芸大時代の作品です。
ダムが怖い。見えるのは普通の景色だけどが何か違う、巨大なものの存在を感じる。という近くの住民が抱いている怖さに対して、川ベり(ダムのふち)にいくつも建物を設置。どこに立ってもそれが見えるようにし、少しずつダムを認識してもらい怖さを軽減するという提案でした。
次は山火事で迷惑をしているギリシャの地域での提案。

むき出しになってしまったお墓の前で暮らすしか無かった場所に、火の見やぐらの役割をはたし、安心と復興のシンボルとしてタワーを建てるというものでした。

また新しい寄り合い所をつくるコンペでは「人が集まっていること事態を形にしたい」という思いから、椅子やしきもの、傘になるアイテムを提案。

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坂東さんが影響を受けた10冊の本

「今までのいわゆる大御所の建築家のように自分の理論を肯定するための(自分をアピールする)建築はひとりよがりな感じがする。神山町ではみんな嬉しそうに建物を使ってくれるので、理論なんかでは無く、凄く素直な選択で建築をしている。

今は自分のスキルを高めて大御所を目指すことよりも、みなさんの役に立つことや世の中のルールを見つけていく方に興味があります。」
と坂東さんは話してくださいました。

自分を表現するものを作るというのが、物作りの魅力と理由の一つなのだけれどそれは独りよがりな気がする。という考え方が凄く自分の中に響きました。

自分を表現するツールを誰かのために使う事で、きっともっと素敵なものが見えてくるのだと思いました。大切にしていきたい考え方を教わりました。ありがとうございました!!

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(まちの教室スタッフ 竹内晴香)

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坂東幸輔(建築家)
坂東幸輔建築設計事務所主宰、バスアーキテクツ主宰、一級建築士。1979徳島県生まれ、2002東京芸術大学美術学部建築科卒業、2008ハーバード大学大学院デザインスクール修了、2010現事務所等を設立現在に至る。